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その昔「阿蘇黄土(リモナイト)」の魅力に魅せられた女性がいたといわれています。邪馬台国の女王「卑弥呼」です。その倭王卑弥呼から、魏へ贈られた献上品に「丹」が名を連ねている記憶が今も残っています。「丹」とは、倭国の人々に「献上品」や「呪術の儀式」「日常の装飾」幅広く用いられていた鉄丹「ベンガラ」を意味しています。また、中国では「不老不死の秘薬」として「丹」を珍重し活用していたと言われています。
月日は流れ、昭和54年ごろから、阿蘇町一帯にある弥生時代の古墳で、石室や石棺から大量のベンガラ「鉄丹」が発見されました。この膨大な量のベンガラを、古代の人々はどこで手に入れたのでしょうか。それこそが、阿蘇の大自然の恵み「阿蘇黄土(リモナイト)」でした。リモナイトを加熱すると主成分の鉄分が、たちまち深みのある赤褐色へと色を変えます。阿蘇一帯では防腐効果、殺菌効果として館や鳥居などに用いられていました。
「邪馬台国の九州説と魏志倭伝」「弥生時代の古墳から発見されたベンガラ」「阿蘇黄土(リモナイト)」は深く関わっているという説も唱えられています。そして現在、長い時を経た今でも、「阿蘇黄土(リモナイト)」は「自然の恵み」「命の土」として愛されています。
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リモナイトが採掘される地名、「赤水」の由来は、水酸化鉄の赤い水が溝や湿地に染み出て、人々の目に付いたためともいわれています。現在でも、用水路や田んぼでは赤くこびりついた鉄分を見ることができます。
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阿蘇市狩尾の工場には、牛飼いなどがよく黄土をもらいに来ていたとも伝えられています。それはリモナイトが、牛の下痢止め剤としての効果を持っていたからです。リモナイトの主成分は、酸化第一鉄で非常に不安定な状態で存在しています。その不安定な分子は他のものと結びつき、安定しようとする働きがあります。これがリモナイトの、もうひとつの秘めた力「吸着力」です。動物の体内や、空気中、水の中でもこの吸着力は驚くほどの効果をあらわします。また、鉄分などの天然ミネラル成分を活用し、現在では日本各地の養豚場で豚が食べる飼料添加剤として豚の健康維持や、肉質改善などのために使用されています。
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鉄分、ミネラル分を多く含んだリモナイトは、みかんなどのかんきつ類や花、野菜にいたるまで様々な植物に大変良い効果を与えるといわれています。